2013年11月11日月曜日

「ライゾマティクス inspired by Perfume」展に行ってきました

2013年9月21日~10月20日にNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)で開催された「ライゾマティクス inspired by Perfume」展に行ってきました。
展覧会じたいはとっくに終わってしまっていますが、メモのために。



※美術展なので中の様子を写真に撮ったり出来なかったのと、それ以前に写真を撮ることすら忘れてました。
※そんなわけで、ネット上で公開されている情報を使っていきます。

※動画のリンクが切れていたので貼り直しました。(2015/10/29)
※見出しを修正しました。(2015/10/29


マトグロッソによる内覧会の取材映像

一度書き上げたと思ったら下書きが消えるという災難に見舞われて遅くなってしまいました。
わざわざ書かなくてもナタリーInternet Museumの記事を読めば十分な気もしますが。
とりあえず書き残しておこうと思います。

ライゾマティクス展とRhizomatiks

公式サイトの「はじめに」から展覧会の概要を引用。

ライゾマティクスは,若者を中心に絶大な支持を得るテクノポップユニットPerfume(パフューム)の舞台演出のテクニカル・サポートのほか,プログラミングやデヴァイス制作などによる先端メディアを用いた舞台やMVなどの演出,また美術館などでのメディア・アート作品の展示によって,エンターテインメントとアートの境界を横断する数多くのプロジェクトを手がけるクリエイター集団です.3Dスキャン,データ・ヴィジュアライゼーション,ウェアラブル・コンピューティングといった最新メディア・テクノロジーを駆使しつつ,これまでにない斬新かつ洗練されたアイデアによる演出は世界中から注目を集めています.

アルス・エレクトロニカや文化庁メディア芸術祭といった国内外のフェスティヴァルでの受賞歴も数多く,ICCや山口情報芸術センター [YCAM],森美術館などで作品展示を行なっています.
近年では,「Perfume "Global Site Project"」が第16回(2012年)文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門大賞,国際広告賞「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル 2013」銀賞を受賞しています.

本展は,多くのクリエイター,アーティストとコラボレーションを行なうライゾマティクスがPerfumeのために行なってきた,最先端メディアによる演出術にフォーカスした初めての展覧会となります.

ということで、ここ最近のPerfumeの演出を手がけているクリエイター集団・ライゾマティクス、特に真鍋大度氏と石橋素氏の作品が展示されていました。

こんな作品を作ってるようです。

electric stimulus to face -test3 ( Daito Manabe )

led in my mouth -test2 (Daito Manabe + Motoi Ishibashi)

この作品を見て、もしやと思って調べてみたら、電気グルーヴが出ていた「ZEUS」というガムのCM で両氏がテクニカルディレクターとしてクレジットされてました。
しかも監督は関和亮氏(PerfumeのMVを数多く手がける監督。最近はNHKの朝ドラ『ごちそうさん』のOPもやってますね)でしたよ。

ロッテ ZEUS CM THUNDER SPARK

それと、顔がピクピク動くのがこのMVによく似てるなぁと思っていたら、やはりテクニカルサポートとして真鍋氏がクレジットされていました。

illion "MAHOROBA"

入り口

さて前置きはこのくらいにして、見た順番に書いていこうと思います。

入り口のパネル
 メジャーデビュー8周年のUSTREAM配信の時にでも書いたのか、
見に行ったときには3人のサインとメッセージが入っていました。

Perfumeとライゾマティクスの関係を記した年表

Perfume "未来のミュージアム"
「ミュージアム」ということで貼っておきますね
(ドラえもん映画のほうは「博物館」というツッコミは無しで)

"Spring of Life" の衣装

最初に展示されていたのは「Spring of Life」の衣装でした。

Perfume "Spring of Life"

衣装とまったく関係ない話だけど、あ~ちゃんがナイフの背を下にして持ってるとか細かいところまでロボット=非-人間の演出をしていてうっとりしますよねぇ。

さて話を戻して。

部屋には3つのバージョンの衣装が展示されていました。

ICC ライゾマティクス inspired by Perfume
3バージョンの衣装

ICC ライゾマティクス inspired by Perfume
服のほかにも光ります。

led manicure for Perfume's "Spring of Life"
LEDを仕込んだネイルチップ

1つ目は上のMVでも使用されている初期型の衣装。
電源を外から取ってるのでコードが付いてます。デバイスもかなり大きいです。

バージョン1の背面
装置が大きく、電源を供給するコードが付いています。

2つ目は「MTV VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2012」で着ていた青と緑の衣装。
背中のデバイスが改良されて有線ではなくなったものの、ビームサーベルのように棒が二本生えていました。

「Spring of Life」の衣装 ver.2

バージョン2の背面
有線ではなくなったものの、大きなプラグが出ています。

VMAJといえばこの衣装がカッコよかったです。

3つ目は第63回NHK紅白歌合戦で着ていたピンクの衣装。
デバイスがさらにすっきりしてパネル一枚のような形になっています。パシフィック・リムのパイロットスーツみたいな感じ。
真鍋氏のサイトを見ると、 衣装とデバイスのつくりがさらに細かく分かります。

「Spring of Life」の衣装 ver.3

バージョン3の背面
デバイス自体が衣装の中に収まるくらい小型化されています。

参考:『パシフィック・リム』のパイロットスーツ背面
よく見たらそんなに似てないっていう。

各バージョンの衣装の前にはノートPCが置かれていて、無線でリアルタイムで制御していました。

展示している部屋で数分ごとに「Spring of Life」がかかると、衣装が音楽に合わせて光っていました。ノートPCに表示された衣装の図も同期して点滅していました。

こんな感じで光ります。

その場で衣装が光る様子が見られたのも驚いたけど、何よりもびっくりしたのは衣装のサイズ。とても細かったです。LEDが仕込んであるからシルエット以上に細いわけですよ。
そんな華奢な体で2時間以上も動き続けるわけだから、プロって凄いなぁと改めて感じた次第。

追記(2014/05/25)

真鍋氏がこのドレスについてのまとめた動画をアップしていたので、こちらにも貼っておこうと思います。Arduinoで動かしてるんだって!

Spring of Life Dress

Arduinoの開発者の一人、David Cuartielles氏による真鍋氏のインタビュー動画です。

David Cuartielles interviews Daito Manabe

Arduinoの開発者の一人、Massimo Banzi氏によるTEDでのプレゼン映像です。
TEDの公式サイトの映像だと日本語字幕付きで見られます。)
(YouTubeでも日本語字幕付きで見られるようになっていました。(2015/10/29))

マッシモ・バンジ「想像力をオープンソース化するArdurino」

インタビュー冒頭に触れているNIKEのCM。演奏しているのはHIFANAですよ!

NIKE MUSIC SHOE


3D Scan System for Perfume

Perfumeのグローバル版の公式サイト「Perfume Global Compilation LOVE THE WORLD」のジャケットでも使われている3Dスキャンデータがありますが、このスキャンを体験できる「3D Scan System for Perfume」というブースがありました。

「Perfume Global Compilation LOVE THE WORLD」 ジャケット

3Dスキャンを体験できるブース

初めにPerfumeが使っていたものはスキャンの精度が高い反面、時間がかかるのと、ちょっとでもデータの取得に失敗するとやり直しが必要になってしまうものだったらしいです。

今回の展示で使われていたのは、精度は低いけれども一瞬で全身の3Dスキャンが取得できるという装置でした。取得された3Dスキャンデータは次々に別スクリーンで投影されていました。

3Dスキャンを体験する大本さん(NHKの番組より)

Perfume "Global Site Project"

Perfumeのモーション・キャプチャー・データや楽曲を公開してクリエイターが自由にオリジナルのモーション・グラフィックスを作成・公開するというプロジェクト「Perfume "Global Site Project"」についての展示でした。

Perfume "Global Site Project #003"
 グローバル版の公式サイトで実際の内容が見られます。
攻殻機動隊の攻性防壁とかNICTのダイダロスみたい。

このプロジェクトで作成された様々なグラフィックスが壁一面に展示されていました。

壁に展示されたグラフィックスの数々

《Perfume WORLD TOUR 2nd intro》

「Perfume WORLD TOUR 2nd」では先のプロジェクトで投稿されたグラフィックスを衣装に投影するプロジェクション・マッピングが演出に使われていたそうですが、実際にその様子を見ることが出来る「《Perfume WORLD TOUR 2nd intro》」という展示がありました。

映像が投影される衣装
スカートの横や袖が蛇腹になっていて、開いたり閉じたりします。

次々に映像が投影されます。

ICC ライゾマティクス inspired by Perfume
映像が投影される様子

この演出は「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」という広告祭のサイバー部門で銀賞を受賞したそうで。
受賞時のプレゼンテーションでPerfumeが行ったパフォーマンスを見ることが出来ます。

【HD】Perfume Performance Cannes Lions International Festival of Creativity
「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」でのパフォーマンス

Perfume "Spending all my time"

会場にいた人の話を聞いていると勘違いしている人がかなり多いようだったけれど、このプロジェクション・マッピングは「映像に合わせてPerfumeが動いている」わけではないんですよ。

これはむしろ反対で「Perfumeの動きを追いかけて映像を投影している」のです。
NHKで放送していた特集番組の中でも「止まっていると(映像に合わせていると思われて)もったいないから振り付けを増やした」ということをインタビューで言っていました。

elevenplay dance performance for SonarSound Tokyo Festival 2013


《Physicalizing Data by Rhizomatiks》

《Physicalizing Data by Rhizomatiks》」という3Dスキャンデータを使用した展示でした。

行ったのが日曜だったということもあって、30分強待って見ました。

地面から1.5mほどのところに箱(幅・高さ・奥行きとも2mくらい?)があり、箱の一番奥には3Dスキャンデータから作られた3人のマネキンが置いてありました。そしてその手前にホログラムの映像が投影されるというものでした。

展示の様子
マネキンの手前に映像が投影されます。

CGだけでなく、3人の実写映像も投影されました。

ICC ライゾマティクス inspired by Perfume
映像だと「手前に投影されている」感じが分かりやすいかも。

特にスクリーンなどが置いてあるわけではないのに映像が浮かび上がってくるというのがとても不思議な体験でした。

終わりに: Perfumeを支えるテクノロジー

ステージの演出、さらにそれを支える技術となると普段は表に出てくるものではないので、実際に見たり知ったりする機会はなかなか無いかと思います。
メンバー3人の身体(=歌・ダンス)、中田ヤスタカの音楽の他に、もうひとつ「Perfume」を支えるものである「テクノロジー」を見ることができたとても面白い展示でした。

最後に、最新の「作品」を載せて終わりにしようと思います。

Perfume "1mm"

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