2013年2月25日月曜日

映画 鈴木先生

2回観てきました。

『映画 鈴木先生』本編抜き映像

映画を2回観て、ドラマ版と原作も見ました。
流れはこんな感じ。
  1. 映画版1回目を鑑賞(この時点では原作もドラマも見てない)
  2. ドラマを鑑賞、原作を第7巻(鈴木裁判)まで読了
  3. 映画版2回目を鑑賞
  4. 原作を最終巻まで(2学期編=映画版の内容)読了、外典も読了
正確に言うとドラマを放送していたくらいの時期に原作第1巻の「げりみそテロ」のところは立ち読みしていたのだけれど、気にはなりつつもチェックすることは無かったのですよ。

で、「話題作っぽいし観に行ってみるかァ」くらいの軽い気持ちで映画版を観たら、扱っているテーマに結構びっくりしてしまいました。先に映像を挙げている選挙であったり、過剰規制の話であったり、時期が時期ならかなり話題になったんじゃないかと思い、ドラマも見てみたんです。

そうしたら、扱いにくそうな話題についてとことん考えるということをドラマ版でもとっくにやっていました!
完全にナーメテーターでしたよ。

緋桜山中の先生たち

ドラマ版の良いところを大雑把にまとめると、次の二点です。
  • 原作ストーリーの再構築がうまくいっている。
  • 鈴木先生の思想敵をほぼ足子先生だけに絞っている点(=関先生や竹地母のエピソードの統合、桃井先生の過去エピソードの省略) 
  • 樺山が酢豚にこだわる理由など、原作で特に説明が無い部分の補強が多々ある
  • 第1話に岬のエピソード(小4と××事件)というより強烈かつこの物語のスタイルが明確に分かる話を持ってきている 、などなど
  • キャスティングの素晴らしさ、特に2年A組の生徒の雰囲気は原作以上に「あいつら」っぽい
顔面など素晴らしいヴァイブスを放つ生徒たち

キャスティングについては一人ひとり触れていきたいくらいですが、キリがなくなるのでここでは割愛。映画版でも同じくこの二点は良かったと思います。

文化祭の演劇の練習や生徒会内部のいざこざを省略していたり、原作では2年C組のエピソードをA組にまとめているなどありますが、中でも良かったのは公園の喫煙所にたむろする緋桜山中OBの描写です。原作では満が変質者であると思わせるような描写がありますが、映画版ではこれを省略して「ここにしか逃げ場が無い人たち」という面を強調しています。これによって過剰規制に疑問を投げかける視点がより際立ったように思いました。

公園から喫煙所が撤去されたことで居場所がなくなる勝野ユウジ(左)と田辺満(右)
ただ、今回の映画版がとても良い出来だったかというと、決してそうは思ってません。
1回目に観ていくつか気になった点があって、ドラマ版→映画版2回目と観て再確認したという感じです。

どこが気になったかというと、今回の映画版のほうがドラマ版以上にTVっぽい画面だったということ。
例えば、足子先生が鈴木先生を見たときにマジックで塗りつぶすような表現が使われていること。原作でも確かに黒く塗りつぶすような表現が使われています。ただ、映像で表現するなら足子先生主観の時には単に鈴木先生が映っていない、というだけで十分伝わったんじゃないかと。
と言いつつも、この作品ではほぼ全編が鈴木先生の主観(生徒の心情描写はほとんど描かれず、鈴木先生が彼らの表情や言動から読み取るという形)なので、足子先生の主観映像を入れるのはそれはそれでおかしなことになりそうだな、とも思っています…。

「気に入らない相手を視界から消す」という夢のような能力を得て復帰した足子先生

それから、窓の外からの光が柔らかい逆光になっていること。この表現自体はドラマ版でも使われていて、おそらくは窓の外の光景を省略するためなのではないかと思ってます。TVで見る分にはそれほど気にはならないのだけれど、スクリーンで観るとどうしても目立ってしまう感じがしました。
作品の内容は現実的な色が濃いので、岩井俊二的ファンタジーの印象が強いこの光の表現は相性が悪いように感じました。

あとは、終盤での小川のジャンプ。原作ではそんなに違和感のあるシーンではないんですよ。あの距離であの高さからジャンプしたらあの位置に辿り着くだろうと。
映画版ではかなり無理そうな距離をジャンプするうえに、鈴木先生が片手で持ち上げるというね。この手のシーンならよくある表現なのかもしれないけど、先にも触れたように現実的な色が濃い作品なので、ここだけどうしても浮いて見えてしまいました。
2回目を観たときに同じ劇場にいた中学生くらいの子がこのシーンを観て「あり得ない…」とつぶやいて(しかもこのシーンは無音なのでその子の声が劇場に響いた)いました。気持ちは分かるけど、声を出すのは控えようね。

小川を助けるために柵を乗り越える鈴木先生

悪かった点を後に持ってきたせいでこの作品が嫌いみたいな感じになってますが、作品自体は好きですよ。ドラマ版と同じく最後に神田が鈴木先生への理解を示すセリフを言うのがグッと来てしまいました。

逝った。

最後に、映画版のテーマ曲を貼っておきますね。

androp "Rainbows"

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※補足

これを書いてるときにちょうど『映画 鈴木先生』を巡る評論で映画評論家の町山智浩さんと漫画史研究者の宮本大人さんのやりとりがあったのでリンクを貼っておきます。
ためになりますねぇ。

町山智浩アメリカ日記:「必ず、映画『鈴木先生』鑑賞後にお読みください」

宮本大人のミヤモメモ:町山智浩さんの「映画 鈴木先生」評について

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